欲の関連語

 原始仏典には、欲に関する言葉が以下のようにたくさん使われています。
 abhijjhā:羨望、lobha:貪り、kāma:、taṇhā:渇愛、rāga:染 or 貪、chanda:、icchā:欲求
また、それらが組み合わされた複合語もよく登場します。
 chandarāga:愛着、kāmarāga:欲貪、kāmacchanda:欲望、kāmataṇhā:欲愛 等々。

 これらのパーリ語は、よく似ている意味の言葉ですが、それぞれ強さもニュアンスも違うものです。パーリ語は日本語よりも欲に関する言葉の種類が多いため仕方なく違うパーリ語に対して同じ訳語をあてはめているケースが多いのです。そのため日本語の訳文を読んだだけでは、対応する元のパーリ語が複数存在するために、正確に意味をつかむことができない場合が生じます。
 もちろんブッダは、これらのパーリ語を完全に区別し、適材適所で使い分けられていて、意味だけでなく韻も踏まれて、音やリズムも配慮した完全な言葉を話されています。
 これらの言葉に、もっとも適切で現代的な訳語を選んであてはめて統一し、個々の日本語訳、さらには複合語の日本語訳が矛盾しないようにすることは大変難しい作業です。また新しい訳語をあてはめて翻訳しても、違和感を感じることがしばしばあります。また、伝統的な訳から逸脱することもあるでしょう。また誤りや見当違いがあるかも知れませんが、試行錯誤して、少しでもブッダの意図を読み取れる訳文に近づけたいと思います。