家主, 居士,資産家 master of a house
一般に家の主、家長を指す語であり、多くは富裕な在家層を指します。
少なくともこの語の使用当時においては、カーストも関係なく、仏教信者かどうかも関係なく使われていた言葉であり、社会的地位語であって、宗教称号ではありません。
そうであるなら、近代日本で戒名に「~居士」を付す慣行は、パーリ文献におけるgahapatiの用法とは必ずしも一致しないことになります。
なお、mn54_1にこういう記述があり、現役を引退した人に使うのは失礼にあたるようです。
「こう言われたポータリヤ居士は、『”居士よ”という言葉で、沙門ゴータマは私に話しかけた』と憤慨し、不機嫌になり、世尊にこう言った。「尊者ゴータマよ、あなたが私を”居士よ”という言葉で話しかけたこと。それは不適切であり、それはふさわしくない」と。
「なぜなら居士よ、君の様相、君の特質、君の特相、それらは居士のそれのようであるから」と。「しかし尊者ゴータマよ、私は一切の仕事を拒否し、一切の俗事を断絶しています。1)」と。
類語 upāsaka:優婆塞
| Atha kho dīghāvu upāsako pitaraṃ jotikaṃ gahapatiṃ āmantesi . | するとディーガーヴ優婆塞は、父であるジョーティカ居士に呼びかけた。 |
| Yaṃ kho so, mahārāja, seṭṭhi gahapati bhātu ca pana ekaputtakaṃ sāpateyyassa kāraṇā jīvitā voropesi, tassa kammassa vipākena bahūni vassāni bahūni vassasatāni bahūni vassasahassāni bahūni vassasatasahassāni niraye paccittha. | そして大王よ、その富豪の居士が財産目的で兄弟のひとり息子から命を奪ったこと、その行為の果報で、幾年、幾百年、幾千年、幾十万年、地獄で煮られました。 |
| Tena kho pana samayena pañcasāleyyakā brāhmaṇagahapatikā mārena pāpimatā anvāviṭṭhā bhavanti . | しかしその時、パンチャサーラーの婆羅門や居士たちは、悪魔に魅入られていた、 |
| mā samaṇo gotamo piṇḍamalatthāti. | 『沙門ゴータマは、托鉢を得るなかれ』と。 |
| Atha kho anāthapiṇḍikassa gahapatissa andhakāro antaradhāyi, āloko pāturahosi, yaṃ ahosi bhayaṃ chambhitattaṃ lomahaṃso, so paṭippassambhi. | するとアナータピンディカ居士には、暗闇が消失し光が現れ、(先ほど)あった恐怖、硬直、身の毛のよだち、それは鎮静した。 |
| ‘‘jiṇṇosi dāni tvaṃ, kassapa, garukāni ca te imāni sāṇāni paṃsukūlāni nibbasanāni. | 「カッサパよ、いまや君は老衰し、そして君にはこの捨てられた麻の糞拭衣は重いのです。 |
| Tasmātiha tvaṃ, kassapa, gahapatāni [gahapatikāni (sī.)] ceva cīvarāni dhārehi, nimantanāni ca bhuñjāhi, mama ca santike viharāhī’’ti. | それゆえここにカッサパよ、君は居士の衣を着て、招待を受用し、私のもとで住しなさい」と。 |
| Esā, bhikkhave, tulā etaṃ pamāṇaṃ mama sāvakānaṃ upāsakānaṃ, yadidaṃ citto ca gahapati hatthako ca āḷavako. | 比丘たちよ、私の弟子の優婆塞たちにとってこれが秤(はかり)、これが基準です。すなわちチッタ居士とハッタカ・アーラヴァカ居士が。 |
| Tassa so gahapati vā gahapatiputto vā mittatopi naṃ saddaheyya [daheyya (syā. kaṃ. pī. ka.)]; | そのため、その居士あるいは居士の子は彼を友と信じ、 |
| suhajjatopi naṃ saddaheyya; | 朋友も彼を信じ、 |
| tasmiñca vissāsaṃ āpajjeyya. | そして彼への信頼に至ります。 |
| ‘‘Lābhā te, gahapati, suladdhaṃ te, gahapati, yassa te gambhīre buddhavacane paññācakkhu kamatī’’ti. | 「居士よ、あなたの利得です。居士よ、あなたは良く得ました。そのあなたの智慧の眼が、深遠な仏陀の言葉に入っているのだから」と。 |